毎年お正月を迎える年末頃になると、年賀状を準備する事もあり、干支(十二支)についての話題も交わされるようになると思います。そこで毎年話題になる事の一つが「どうして日本の干支には猫がいないのか?」です。
俗説・逸話として、よく耳にするのはこんなお話です。
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昔々、ある年の暮れ。
神様が動物達にお触れを出しました。
それは、元旦の朝に新年の挨拶に出かけてくるように、というもので、その挨拶に来た一番目から十二番目まで、それぞれ順番に一年を代表する動物に任命するというお触れでした。
動物たちは一番になるぞと、元旦の朝を楽しみに待つことにしました。
そんな中、猫は神様のところへ挨拶にでかける日を忘れてしまいました。いつだったかな、と鼠に聞くと鼠はわざと一日遅れの2日だと教えました。
そして迎えた元旦。
歩みが遅い牛は、大晦日のうちから支度をし、まだ暗い中、一足早く出かける事にしました。
牛小屋に住んでいた鼠は、そんな牛の支度を見ていたので、これ幸いと牛の背中に飛び乗りました。
そんな事はつゆ知らず、牛が神様の御所に到着すると、まだ誰も来ていませんでした。
牛は一番乗りと喜び、しばらく待っていると御所の門が開きました。
すると、牛の背中からひょいっと鼠が飛び降りてきて、そのまま門の中へ走り込み、鼠が一番になってしまいました。
牛は二番目の到着となり、その後、虎~猪の順番で十二番までが決まりました。
さて、一日遅れて2日の朝。
猫が神様の所へ挨拶にやってきましたが、一日遅れは勿論の事、既に十二番目までの動物が決まった後でした。
ここで猫は鼠に騙された事を知り、とても怒り、この事を根に持って鼠を追いかけ回すようになりました。
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このお話は、昔話として聞いた事があるという方や、「まんが日本むかしばなし」で見たという方もいると思います。猫については少し続きがあって、翌日訪れた事を感心しなかった神様が「顔を洗って出直して来い」と怒ったため、以来猫はよく顔を洗うようになった、と言われています。
さて、逸話ではこのような顛末で、猫が鼠を追いかけるようになった理由について面白く表現されているのですが、実際どうして猫が十二支に含まれていないのでしょうか?
元々、日本の十二支は古代中国で考えられ、日本に伝えられたものですが、個人的には、古代中国で十二支が考えられた頃には、中国に猫が居なかったのではないかと思います。というのも、中国や日本以外の地域の十二支の中には「猫」が含まれている場合もあるからです。
意外と知られていませんが、中国や日本、ベトナム・タイ等の東アジアだけではなく、西アジアや東ヨーロッパの一部の地域にも、割り当てられている動物に少しずつ差異があるものの、十二支の風習があります。チベットやタイ、ベトナム、ベラルーシでは「兎(卯)」の場所に「猫」が入ります。またブルガリアでは「虎(寅)」の場所に「猫」が入ります。それぞれの地域で十二支を考えた頃に、既に「猫」が居た地域は猫を取り入れているのだと思います。

2件のコメント

  1. おぉ~!外国には、猫年もあるんですね~(^^)
    私は兎年なので、国が違えば「猫年」だったんだぁvv
    と、すごく嬉しくなっちゃいました♪

  2. > たぬきさん
    お読みいただきありがとうございます。
    そうなんですよ~、嬉しい事に「猫年」は存在するんです!
    チベット、タイ、ベトナム、ベラルーシのいずれかに移住すると、
    たぬきさんは、もれなく猫年になれます!

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