p_story012003年3月。
その日の夕刻、わが家の庭に4匹の野良猫「クロ・かな・かめん・ぶち」が揃って現れました。数年前に家を建てたわが家の敷地は、元々は猫の通り道だったら しく、そういえば越してきた当初から庭を通り過ぎる野良猫の姿を時々見かけるなあ、と思って いました。いつもの通り道に知らない人間がやってきて住み着き、どうも雰囲気が変わってしまったこの場所を、どんな人間が住んでいるのかと観察していたの かもしれません。その後、慣れてくれたのか次第に通りかかる回数が増え、その日いよいよ4匹が現れたのでした。p_story02野 良猫ながら、とても人なつこい様子で皆そろって近づいてきました。単に人慣れしているのか、それとも猫好きな人間だと感じてくれたのか、しばらくすると足 元にすりすり。案外、どこかで飼われている猫なのかもと思ったりもしました。特に追い払うつもりもなかったので、それまで同様、庭を通っても特に干渉はせ ず、自然なお付き合いの日々が続きました。p_story03や がて季節は本格的な春を迎え、4匹はなんとなくわが家の庭を暮らしの場として行き交いはじめました。庭に設けてあるウッドデッキではよく日向ぼっこをする 姿を目にしました。時にケンカしたり、時にフラリと居なくなる日もあったりしましたが、わが家の周辺は基本的には「クロ・かな・かめん・ぶち」の猫4匹が 支配するナワバリのようでした。そんな中「かめん」と「かな」がとても仲良く連れだって歩く姿を見かけるようになり、ふと気がつくと「かな」のお腹が少し ずつ大きくなってきていました。

p_story042003年8月。
順調にお腹が大きくなり、庭のあちこちをウロウロして、いつ産んでもおかしくない状態の「かな」のためにと、ウッドデッキ上にダンボール箱を差し入れしました。すると、すぐダンボール箱に入って落ち着きだしました。p_story05 そして迎えた2003年8月20日の未明、めでたく出産となり、「かめん」と「かな」の間に5匹の子猫「キンタ・はな・ギンタ・しっぽ・チビ」が誕生しま した。なんとも可愛い子猫たち。最初はダンボール箱の中を、おしくらまんじゅう状態に過ごし、ホフク前進で母猫となった「かな」のオッパイを探します。や がてダ ンボール箱から出られる様になると、次なる試練はウッドデッキと地面との高低差。デッキ上はヨタヨタしながら盛んに歩き回るけど、デッキを降りるジャンプ はなかなかできません。うっかり落ちると、飛び上がる事ができず「キューッ、キューッ!」と必死に鳴いて「かな」を呼び、首の後ろを咥えられてデッキ上に 上げてもらったりしました。

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しかし…
子猫が誕生してからちょうど3ヶ月が経った11月21日を境に、母猫となった「かな」が突然失踪してしまったのです。実際のところ、少しばかり子猫達の世 話をやかない猫だったので、育児放棄をしたのかもしれません。そろそろ乳離れをして、獲物の狩りの仕方を教えたり、ナワバリを教える為に連れ立って歩き回 る時期に突然いなくなってしまいました。それまでの様にどこかへフラリと出かけて、休息を取っているのかもしれないと思い、一日、また一日と待ちましたが 結局帰ってくる事はありませんでした。

p_story11母 猫「かな」がいなくなった頃から、父猫である「かめん」が、迫る寒さから子猫達を守るため毎日のように夕刻近くにやってきてはダンボール箱へ入り、子猫達 に添い寝をし暖めていました。しかし「かめん」では乳を与える事はできません。彼なりにネズミを捕まえてきて子猫達に食べさせようとしていましたが、まだ 成猫が口にするような食べ物は食べる事ができませんでした。このままでは衰弱していってしまう子猫達。自然に任せてそのままにしておくべきなのか悩みまし たが、かといって放っておく事もできず、子猫用の缶詰を用意する事にしました。

その後、一時の衰弱が影響したのか「チビ」が他界してしま いました。深まる秋の、寒い朝の出来事でした。続いて「しっぽ」が「かな」と同じく、行方不明に なってしまいました。家の周りや近所を何日も探し回りましたが、やはり見つかりませんでした。本当に悲しい出来事でした…。

そんな中「キン タ・はな・ギンタ」の3匹は「かめん」の育児のおかげもあり、元気に育ちました。時には生きている子ネズミを甘噛みして捕まえてきて子猫達 にハンティングを教えたり、自身が子猫達の遊び相手になったりとハンター教育をしつつも、子煩悩な一面も見せてくれました。そんな「かめん」の頑張りに触 発されて、ご飯に缶詰だけでなく子猫用ミルクも用意して「かめん」との共同育児で、3匹はすくすく育ちました。

p_story122003年12月。
冬の寒さから子猫達を守るため、家の中で生活を共にする事を決意しました。 もちろん「かめん」も一緒です。「かめん」は朝になるとわが家にやってきて子猫達の相手をつとめ、昼間は子猫達と猫団子を作って添い寝をし、夕刻になると 自分のねぐらへ帰るという生活を送りました。しかし、そんな「かめん」も2003年12月31日の大晦日を最後に二度と現れる事はなく、子猫達の独り立ち を認めたのだと思いました。そしてこの時、もしかしたら「かめん」は「かな」が居なくなった理由を知っていて、子猫達の身を案じて世話をしていたのかもし れない、と思いました。

年が明けて、2004年1月1日。
この日から、野良猫「かめん」と「かな」から授かった3匹の猫「キンタ・はな・ギンタ」との“CatLife”が始まったのでした。

minibookここまでの出会いのお話がストーリー仕立ての写真集になりました。
約12cm×12cmの可愛いCDサイズ本となっています。はじまりの猫「かめん」と「かな」から授かった3匹の猫「キンタ・はな・ギンタ」。彼等との出会いを綴る、こちらの本も是非ご覧下さい。

キンタ・はな・ギンタのにゃんこ生活
38ページ・オールカラー・2007年8月発行

著者:佐藤 誠/企画編集:時空工房/出版:青菁社
番号:ISBN978-4-88350-220-2
定価:819円(税込)
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